朝の光が差し込む。
おもむろに目を開くと同じタイミングでソレイユも起きたようで、モゾモゾと動く音が聞こえてくる。

「ソレイユ、おはよう」

「お。起きたか。おはよ」

茶髪をぴょこぴょこと跳ねさせたソレイユが目を擦りながら制服に着替えている。
僕も上半身だけ起こしてぼーっとする頭でソレイユの行動を目だけで追った。

「ほい。この剣」

ソレイユは教科書のところに横たわる剣を投げて僕にパスする。
僕はそれを受け取ると剣がスルッと鞘から少しだけ抜け黒い刃が覗いた。

「うわあああ!!」

「ど、どうした!? クラージュ大丈夫か!?」

夢での恐怖と、いつものこの剣を使う時の恐怖が込み上げ剣を投げ捨てた。そして身を守るように両肩を支えながらガタガタと震えた。
そんな僕を見てソレイユが焦った面持ちで寄ってくる。
捨てられた剣と僕を交互に見ると察しが着いたのかしゃがみ込み僕の頭を撫でた。

「そんなに怖いんなら捨てればいいのによ」

僕は俯いたままキュッと唇を噛み締めて首を横に振る。
頭上からソレイユの呆れたため息が聞こえてくる。
呆れられて当然だ。
ソレイユもこの剣の異常性を知っているし、いつも使うことを反対している。

でも、僕はそれを受け入れなかった。

何もかもが平均の僕に与えられた力。

この剣を使えば絶対に強くなれる。

だから、どうにかしてでも強くなりたい僕は自分を犠牲にしてでもこの剣を使い続けた。