悲鳴が聞こえた方角へ住宅街を歩く……。その間も、悲鳴は凛太の耳にずっと突き刺さってきていた。
今まで聞いたことが無いくらい苦しそうで悲痛な叫び声だった。大の男がこんな声を出すのかと思う……聞いているだけで頭がおかしくなりそうだ。
それなのに、凛太以外の2人は特におびえた様子もなく、先ほどまでと変わらない様子で前を歩いていた。
「ここだね」
「はい」
辿り着いたアパートを見ると、すぐにここだと確信できる。
建てられてまだ日が浅いであろう真っ白な壁をしているアパート……そこにいくつかある窓の1つだけが真っ赤に塗れらていた。その窓からインクが滲むように壁面へ赤色が漏れている。
あそこだ……あの部屋からだ……あそこで何かが起こっている。
「草部君。どうする初めは外で見ておく?」
「いや中までは入ったほうがいいんじゃないですか。何やってるか分かんないでしょう」
「ちょっと、本当にこんなとこへ入っていくんですか。やばいですよどう見ても」
「それが仕事だからね」
2階にあるその部屋へ向けて、増川はアパートの階段へ進んだ。
「とりあえず草部君は離れたところで見ててよ。こんなん大したことないから」
付いていきたくなかった……。けれど、1人で取り残されるのも心もとない。
「ここにいるであろう男の人は、逃げても逃げても繰り返し殺されるらしい。いつも、正面から頭へ刃物を突き刺されて目が覚めるんだって……」
増川が怪談をなぞるように話している……屋根の下にくると薄暗くて階段の境目がよく見えない。
凛太は後ろからも何か来るんじゃないかと、しきりに後ろも警戒した。
そして……
……いよいよ
玄関からも血が滲んで漏れているドアが……
開けられた
増川と桜田がその部屋に入ったのを見た後、一息ついて覚悟を決めてから凛太はその先を見た。
目に飛び込んできたのはこれでもかというほどの赤色、壁や床が見えてる部分のほうが少ないんじゃないかというほどの張り付いた血しぶき。
そして、今まで何の匂いもしていなかったのに……部屋に充満する血の錆びついたような匂いがそこらじゅうからするようになる。
空気もより濃く重い。その先へ進めば進むほど。
先に通った2人の歩みが、まだ新鮮な血の上で足跡となって残っている。男の悲鳴に交じって聞こえてくる刃物が肉を刺す音も、もうそこまで近い。
凛太が男の寝室まで、たどり着いたとき……ちょうどそのタイミングで見た光景は……血だらけの男に馬乗りになった女が、男の頭めがけて刃物を思いきり振り下ろす瞬間だった。
今まで聞いたことが無いくらい苦しそうで悲痛な叫び声だった。大の男がこんな声を出すのかと思う……聞いているだけで頭がおかしくなりそうだ。
それなのに、凛太以外の2人は特におびえた様子もなく、先ほどまでと変わらない様子で前を歩いていた。
「ここだね」
「はい」
辿り着いたアパートを見ると、すぐにここだと確信できる。
建てられてまだ日が浅いであろう真っ白な壁をしているアパート……そこにいくつかある窓の1つだけが真っ赤に塗れらていた。その窓からインクが滲むように壁面へ赤色が漏れている。
あそこだ……あの部屋からだ……あそこで何かが起こっている。
「草部君。どうする初めは外で見ておく?」
「いや中までは入ったほうがいいんじゃないですか。何やってるか分かんないでしょう」
「ちょっと、本当にこんなとこへ入っていくんですか。やばいですよどう見ても」
「それが仕事だからね」
2階にあるその部屋へ向けて、増川はアパートの階段へ進んだ。
「とりあえず草部君は離れたところで見ててよ。こんなん大したことないから」
付いていきたくなかった……。けれど、1人で取り残されるのも心もとない。
「ここにいるであろう男の人は、逃げても逃げても繰り返し殺されるらしい。いつも、正面から頭へ刃物を突き刺されて目が覚めるんだって……」
増川が怪談をなぞるように話している……屋根の下にくると薄暗くて階段の境目がよく見えない。
凛太は後ろからも何か来るんじゃないかと、しきりに後ろも警戒した。
そして……
……いよいよ
玄関からも血が滲んで漏れているドアが……
開けられた
増川と桜田がその部屋に入ったのを見た後、一息ついて覚悟を決めてから凛太はその先を見た。
目に飛び込んできたのはこれでもかというほどの赤色、壁や床が見えてる部分のほうが少ないんじゃないかというほどの張り付いた血しぶき。
そして、今まで何の匂いもしていなかったのに……部屋に充満する血の錆びついたような匂いがそこらじゅうからするようになる。
空気もより濃く重い。その先へ進めば進むほど。
先に通った2人の歩みが、まだ新鮮な血の上で足跡となって残っている。男の悲鳴に交じって聞こえてくる刃物が肉を刺す音も、もうそこまで近い。
凛太が男の寝室まで、たどり着いたとき……ちょうどそのタイミングで見た光景は……血だらけの男に馬乗りになった女が、男の頭めがけて刃物を思いきり振り下ろす瞬間だった。