「はいみんな、席について」

担任の若い女性教諭と見たことない若い男性が、教室の中に入って来た。さわがしかった教室も、先生の指示通りにみんな自分の席に戻っていく。

「あー、結衣。転校生、男の子だよ。私、女の子方がよかったなぁ」

と、言いながら、麻耶は自分の席に戻った。

「私は、どっちでもいいかな」

そう言って私も、自分の席に戻る。
「この前から言ってたとおり、転校生が今日からこのクラスの仲間になります。授業を始める前に、転校生から簡単な自己紹介をしてもらいます。では、お願いします」
「はい」
担任の若い女性教諭が教壇からおり、反対に転校生が教壇に上がった。クラスメイトの視線が、転校生に集まる。
「大川耕太です、よろしくお願いします」

低い声で、簡単な自己紹介を済ました転校生の大川耕太。

「ありがとう。じゃ,空いてるあの席に座って」

担任の若い女性教諭が、空いてる私のとなりの席を指さした。

ーーーーーードクン。

その瞬間、私の心臓の鼓動が音を立てた。

ーーーーーーなんで、私のとなりに転校生が‥‥‥。

「あの、耕太です。よろしく」

「酒井結衣です。よ、よろしく」
彼の近いで来る足音すら聞こえず、気がつくと私のすぐ真横に転校生の耕太の姿が映った。