しばらく過ぎた夏の日、優平は恋人と鵠沼の海岸へ海水浴に出かけた。

 ドリンクを買いに出た帰り、駐車場で優平のカスタムカブを見ていた日傘の人物がいたので声をかけてみると果たして善子で、

「元気に使ってるねぇ」

 互いに再会を懐かしんで、よもやま話に花を咲かせていたが、背後から恋人の声がしたので優平が反応すると、

「それじゃあまた」

 日傘が曲がり角へ消えるまで眺めたが、振り返ると恋人のもとへ優平は駆けていくのであった。