このとき優平は耕耘機のエンジンチェックもした。
「動けば使えるし、使えればまた農作業できますからね」
バイクのサークルに参加している…という優平からすれば、気付きの範疇であったらしい。
「ずいぶんレアなスーパーカブですね」
優平は例の見回り用のC50を見つけた。
「エンジンかかれば買い出しも楽になりますよね」
キックペダルをかけたり押し掛けしたりしてみたが、動かない。
「これはもしかしたらキャブレター見てみるしかないかも…」
サイドカバーをポケットの硬貨で開け、中から出した工具で手早くキャブレターを開けてみると、ゴミが出てきたので、なれた調子でタオルで拭いてから、
「焼酎ありますか?」
善子が瓶の焼酎を持ってくると中を拭いて脱脂し、再びキャブレターを組み込んでエンジンをかけてみると、今度は一発でかかった。
「これで買い出しできますよ」
優平は汗まみれになりながらも笑顔で復活を喜んだ。