仏間に通されると、真新しい白絹に華鬘結びのついた箱が経机に置かれてあって、

「まさか夕海がこんなことになるなんて」

 といいながら、

「でも一番仲が良かった千夏ちゃんと、いつも一緒に通学してくれた駒木根くんは、頼りにしてたみたいなんですよ」

 手を合わせる背中に向かって母親が語りかけた。

 一礼をしてから、

「たまたま同じ方向だから、一緒に通学していたんですけどね」

 翔平はフラットな言い方をした。

「けど…多分、夕海は駒木根くんのこと好きだったんじゃないかなって、今では思うんですよ」

 母親はなにか、わかっていたのかも知れない。