記事にはルビーが日本語学校に行けず、まるで奴隷のように働かされていたこと、ビザが切れても帰国のための資金すらなかったことなどが書かれてあり、

「それでも日本人は優しかった」

 と、移送される前に記者に語った言葉が残されていた。

 ときおり見せるルビーの笑顔や寂しげな表情が大也は思い出されて、ぼんやりしながら運ばれてきた定食を食べたのだが、残酷な事実が分かった散々な日であったにも関わらず、定食は美味かった。