ルビーは茅ヶ崎の駅のそばに家があるらしかったが、多くは語らない。

 それでも茅ヶ崎駅の北口まで送れば帰れるらしかったので、大也は駅の北口のそばのコンビニまで送ると、彼女が角を曲がって消えるのを見届けてからスロットルを開いた。

 ルビーと会うようになった大也は、茅ヶ崎駅で待ち合わせてルビーを後ろへ乗せると、誰もいない時期外れの柳島の海岸や相模川の河川敷で二人でぼんやりと英語でしゃべったり、少し足を伸ばして鎌倉でデートをしたりしたのであるが、

「…ありがと」

 と訥々とした感謝を述べるのだが、あまり語ろうとしないところをみると、ルビーは人見知りをする気性のようであった。