住み始めてから数年が過ぎた頃、

「うちの茜と結婚する気はありませんか?」

 という茜の兄の言葉もあって、すでに付き合っていた茜と修は籍を入れた。

 茜は専門学校のときにバイクの免許を得ていたが、

「私のは色違いだよ」

 よく見ると、新居には修の黄色と茜の赤の二台のクロスカブが並んでいる。

 用事があると二人は、連れ立ってクロスカブを乗るので、町ではちょっとした風景となった。