マンボウで、カツカレー。
どんな感じになるか、少しだけ予想は出来るのだが。
紗凪もだが、彼女の恋人である翠雨が一番楽しみにしていたようだ。
少し前には頻繁に来訪してきた、がしゃどくろの合歓とはまた違う、秀麗な美貌。それが生き生きと輝いているのだから。
それを見て。火坑は苦笑いしながら、まずは美兎から取り出した心の欠片。マンボウの肉に下味をつけていく。
心の欠片の仕組みは、未だに謎部分が多いとされているが。鮮度が高いので、臭み消しをする必要がないとされているのだ。換金所に持って行くときは、流石に保冷させていくが。
下味の塩胡椒をまぶして、ひとまずバットに並べて冷蔵庫へ。
次に、カレーの仕込みだ。運良く野菜は自分だけの賄い用にと、取り揃えていたのがあるのでそれを使うことにした。
メインのマンボウの肉があるので、野菜だけのカレーを。
ただ一点、火坑はあることを思い出した。
「栗栖さん、今更ですが。食材の好き嫌いはありますか?」
「ないでーす!」
「……基本的になんでも食すでござるからな?」
「うん!」
なら、と。煮込み用の野菜に素揚げ用の野菜を切り。
煮込む方は、お馴染みになってきたタイマーを使った妖術で仕込み。
ルゥだけは、市販のを使い。素揚げ用の茄子とピーマンをたっぷりの油鍋の中で、シンプルに揚げていく。味付けは軽く岩塩で。
それは一旦置いておいて、カレーの味を確認してから鰹出汁と醤油で少々隠し味を入れて。味見して満足のいく出来になったら、次はカツ。
軽く、キッチンペーパーで出てきた水気を拭いたら。小麦粉、溶き卵、パン粉と順につけて行き。
再度、油鍋の温度を菜箸で確認してから、マンボウのカツを入れていく。途端に、上がる揚げ物を入れる時のいい音。
真穂以外の女性二人は、わぁっと声を上げたのだった。
「やっぱ、カツってテンション上がるね!」
「ね、ね、紗凪ちゃん!」
同い年と言うこともあってか、紗凪と美兎は仲が良い。合歓と結ばれた、笹河原秋保も同い年だったが。三人とも気が合えば、この店もまた賑やかになるだろう。
女性もだが、人間の客がここまで増えるとは。ここ何十年なかった。戦後はともかく、食文化が豊富になってきた人間達が、わざわざ界隈に来ることも減ってきた。
売り上げが悪いわけではなかったが、ヒトと関わることが多かった前世の生き方を思うと。火坑は少し寂しかったからだ。
だから、伴侶となる女性が出来たのはもちろんだが、客が増えたのも本当に嬉しかった。
さて、魚肉は火の通りが早いが。マンボウの肉は少々鶏肉のような歯応えがあるので、少し長めに揚げていく。
出来上がったら、熱いうちに切り分けて。人数分カレーを盛り付けて、美兎達に差し出した。
「お待たせ致しました。マンボウのカツカレーです」
「わあ!?」
「おお!!?」
「カツおっきい!」
「あと、これにいつものスープね?」
「ふふ、そうですね?」
ちょうど、スッポンのスープなのでセットのつもりで一緒に出せば。
紗凪が、解体風景を楽しんで見ていたのに。スッポンの頭部入りのスープには目を丸くしていた。
「……どうやって、食べるの?」
「普通の肉のようにしゃぶるだけだ。これも鶏肉のようで美味いでござる」
「ん〜〜、すーくんが言うなら」
だが、まずはカレーだと全員がスプーンを持ち。
切り分けたマンボウのカツとカレーを口に入れれば。
小さい店内に、『美味しい』の声が響き渡ったのだった。
どんな感じになるか、少しだけ予想は出来るのだが。
紗凪もだが、彼女の恋人である翠雨が一番楽しみにしていたようだ。
少し前には頻繁に来訪してきた、がしゃどくろの合歓とはまた違う、秀麗な美貌。それが生き生きと輝いているのだから。
それを見て。火坑は苦笑いしながら、まずは美兎から取り出した心の欠片。マンボウの肉に下味をつけていく。
心の欠片の仕組みは、未だに謎部分が多いとされているが。鮮度が高いので、臭み消しをする必要がないとされているのだ。換金所に持って行くときは、流石に保冷させていくが。
下味の塩胡椒をまぶして、ひとまずバットに並べて冷蔵庫へ。
次に、カレーの仕込みだ。運良く野菜は自分だけの賄い用にと、取り揃えていたのがあるのでそれを使うことにした。
メインのマンボウの肉があるので、野菜だけのカレーを。
ただ一点、火坑はあることを思い出した。
「栗栖さん、今更ですが。食材の好き嫌いはありますか?」
「ないでーす!」
「……基本的になんでも食すでござるからな?」
「うん!」
なら、と。煮込み用の野菜に素揚げ用の野菜を切り。
煮込む方は、お馴染みになってきたタイマーを使った妖術で仕込み。
ルゥだけは、市販のを使い。素揚げ用の茄子とピーマンをたっぷりの油鍋の中で、シンプルに揚げていく。味付けは軽く岩塩で。
それは一旦置いておいて、カレーの味を確認してから鰹出汁と醤油で少々隠し味を入れて。味見して満足のいく出来になったら、次はカツ。
軽く、キッチンペーパーで出てきた水気を拭いたら。小麦粉、溶き卵、パン粉と順につけて行き。
再度、油鍋の温度を菜箸で確認してから、マンボウのカツを入れていく。途端に、上がる揚げ物を入れる時のいい音。
真穂以外の女性二人は、わぁっと声を上げたのだった。
「やっぱ、カツってテンション上がるね!」
「ね、ね、紗凪ちゃん!」
同い年と言うこともあってか、紗凪と美兎は仲が良い。合歓と結ばれた、笹河原秋保も同い年だったが。三人とも気が合えば、この店もまた賑やかになるだろう。
女性もだが、人間の客がここまで増えるとは。ここ何十年なかった。戦後はともかく、食文化が豊富になってきた人間達が、わざわざ界隈に来ることも減ってきた。
売り上げが悪いわけではなかったが、ヒトと関わることが多かった前世の生き方を思うと。火坑は少し寂しかったからだ。
だから、伴侶となる女性が出来たのはもちろんだが、客が増えたのも本当に嬉しかった。
さて、魚肉は火の通りが早いが。マンボウの肉は少々鶏肉のような歯応えがあるので、少し長めに揚げていく。
出来上がったら、熱いうちに切り分けて。人数分カレーを盛り付けて、美兎達に差し出した。
「お待たせ致しました。マンボウのカツカレーです」
「わあ!?」
「おお!!?」
「カツおっきい!」
「あと、これにいつものスープね?」
「ふふ、そうですね?」
ちょうど、スッポンのスープなのでセットのつもりで一緒に出せば。
紗凪が、解体風景を楽しんで見ていたのに。スッポンの頭部入りのスープには目を丸くしていた。
「……どうやって、食べるの?」
「普通の肉のようにしゃぶるだけだ。これも鶏肉のようで美味いでござる」
「ん〜〜、すーくんが言うなら」
だが、まずはカレーだと全員がスプーンを持ち。
切り分けたマンボウのカツとカレーを口に入れれば。
小さい店内に、『美味しい』の声が響き渡ったのだった。