偶然の再会と言うべきか。
とにかく、縁が無事に繋がったことでのっぺらぼうの芙美と美作が『友達』にはなれた。
そう、友達、なのだ。
いくらお互いに一目惚れ同士ではあっても、ほとんど初対面に近い。
それだからか、美作は慎重になって言い出したかもしれない。
美兎は自分と火坑のこともあったので、簡単に言い出したり出来なかった。
二人は今、友達になったお陰か座敷席で会話は弾んでいるようだが。
「よう、久しぶり!」
と、暖簾をくぐって来たのはかまいたちの水緒。たしかにクリスマス以来だったから久しぶりだ。
「お久しぶりですね、水緒さん」
「ちぃっと立てこんでたんでなあ? とりあえず、燗酒」
「かしこまりました」
「あ、水緒さん!」
「ん?」
美作が水緒の声に気づいたのか、座敷席から顔を出して来たのだ。
「ども」
「おう? 辰也じゃねぇか? 珍しいなあ? そっちにいるなんて」
彼らが知り合ったばかりの頃は、水緒は美作を兄さんとか呼んだりしていたが。今は呼び捨てだ。
逆に、美作は恩人なので、相変わらず敬称付きではあるが。
「えと、さっき友達になった人と一緒に飲んでて」
「こーんばんはー? あ、かまいたちの!」
「お? 芙美の嬢ちゃんじゃねぇか? 界隈で直接会うのは久しぶりだなあ?」
やはり、知り合いだったようだ。妖は大抵顔見知りが多いと言うか、人間よりもコミュニケーションが凄いと言うか。
妖コミュニティについてはまだまだ詳しくないが、個体数は人間よりも少ないイメージがあるのだ。界隈に来る度に賑わってはいるが。
「美作さんとお知り合いなんですかー?」
「俺の恩人なんですよ。ほら、そっちのかまいたち兄弟が俺の守護についてくれるきっかけになった」
「ああ!」
「仲良いじゃねぇか? まさか、友達じゃなくてこれかー?」
「ぶ!?」
「水緒さん〜!?」
さすが水緒。
察するのが早い。
けれども、二人は違う違うと顔を赤くしながらも首を横に振ったのだった。
「な〜んだ、面白くない。ん? チョコの匂い」
「今日はバレンタインなので、チョコ尽くしですよ? もちろん、おつまみに出来る料理で」
と言って、火坑が美兎と水緒の目の前に置いたのは少し茶色がかった海老マヨだった。
野菜の彩りが美しく、とても食欲を掻き立てられた。
「ほーう?」
「いただきまーす!」
まずは、メインのエビをひと口。ぷりぷりのエビを揚げたものがなんと美味しいことか。ソースはマヨネーズとチョコもあるが、少しピリ辛。
野菜との相性も抜群なので、ぱくぱく食べれる。
まだ残っていたホットチョコじゃなくて、梅酒のお湯割りを煽ると。口の中が幸福感に包まれた。
「美味しいです!」
「お粗末様です。美兎さん、心の欠片を頂戴していいでしょうか? 締めのデザートを考えているんです」
「わかりましたー!」
両手を差し出して、猫手でぽんぽん。
光って、一瞬ハート型のブローチになったが。もう一度ぽんぽんされると、袋詰めの大量のマシュマロが出て来たのだ。
「美味しいデザートまで、料理をお楽しみください」
「待ってまーす!!」
チョコの好きだが、マシュマロも好きらしく。
軽く酔っている芙美が大声を上げたのだった。
とにかく、縁が無事に繋がったことでのっぺらぼうの芙美と美作が『友達』にはなれた。
そう、友達、なのだ。
いくらお互いに一目惚れ同士ではあっても、ほとんど初対面に近い。
それだからか、美作は慎重になって言い出したかもしれない。
美兎は自分と火坑のこともあったので、簡単に言い出したり出来なかった。
二人は今、友達になったお陰か座敷席で会話は弾んでいるようだが。
「よう、久しぶり!」
と、暖簾をくぐって来たのはかまいたちの水緒。たしかにクリスマス以来だったから久しぶりだ。
「お久しぶりですね、水緒さん」
「ちぃっと立てこんでたんでなあ? とりあえず、燗酒」
「かしこまりました」
「あ、水緒さん!」
「ん?」
美作が水緒の声に気づいたのか、座敷席から顔を出して来たのだ。
「ども」
「おう? 辰也じゃねぇか? 珍しいなあ? そっちにいるなんて」
彼らが知り合ったばかりの頃は、水緒は美作を兄さんとか呼んだりしていたが。今は呼び捨てだ。
逆に、美作は恩人なので、相変わらず敬称付きではあるが。
「えと、さっき友達になった人と一緒に飲んでて」
「こーんばんはー? あ、かまいたちの!」
「お? 芙美の嬢ちゃんじゃねぇか? 界隈で直接会うのは久しぶりだなあ?」
やはり、知り合いだったようだ。妖は大抵顔見知りが多いと言うか、人間よりもコミュニケーションが凄いと言うか。
妖コミュニティについてはまだまだ詳しくないが、個体数は人間よりも少ないイメージがあるのだ。界隈に来る度に賑わってはいるが。
「美作さんとお知り合いなんですかー?」
「俺の恩人なんですよ。ほら、そっちのかまいたち兄弟が俺の守護についてくれるきっかけになった」
「ああ!」
「仲良いじゃねぇか? まさか、友達じゃなくてこれかー?」
「ぶ!?」
「水緒さん〜!?」
さすが水緒。
察するのが早い。
けれども、二人は違う違うと顔を赤くしながらも首を横に振ったのだった。
「な〜んだ、面白くない。ん? チョコの匂い」
「今日はバレンタインなので、チョコ尽くしですよ? もちろん、おつまみに出来る料理で」
と言って、火坑が美兎と水緒の目の前に置いたのは少し茶色がかった海老マヨだった。
野菜の彩りが美しく、とても食欲を掻き立てられた。
「ほーう?」
「いただきまーす!」
まずは、メインのエビをひと口。ぷりぷりのエビを揚げたものがなんと美味しいことか。ソースはマヨネーズとチョコもあるが、少しピリ辛。
野菜との相性も抜群なので、ぱくぱく食べれる。
まだ残っていたホットチョコじゃなくて、梅酒のお湯割りを煽ると。口の中が幸福感に包まれた。
「美味しいです!」
「お粗末様です。美兎さん、心の欠片を頂戴していいでしょうか? 締めのデザートを考えているんです」
「わかりましたー!」
両手を差し出して、猫手でぽんぽん。
光って、一瞬ハート型のブローチになったが。もう一度ぽんぽんされると、袋詰めの大量のマシュマロが出て来たのだ。
「美味しいデザートまで、料理をお楽しみください」
「待ってまーす!!」
チョコの好きだが、マシュマロも好きらしく。
軽く酔っている芙美が大声を上げたのだった。