嬉しい。
もしかしなくとも、不動も同じ気持ちでいてくれるかもしれないから。
赤くなった顔を手で隠すのも、何だか年上なのに可愛らしく見えて。
真衣は、もっともっと彼のことが知りたいと思ったのだった。
そして、注文した天丼が到着すると、その圧倒的な天麩羅のサイズに目を丸くしたと思う。
「お……っきい、ですね?」
野菜もだが、穴子らしき長い天麩羅もめちゃくちゃ大きい。これは食べ切れるか、流石に心配になってきた。
「あ……すんません。いつもの頼んじゃって。もし……残ったら、俺が食います」
「え、こんなに多いの。不動さん、食べ切れるんですか??」
「いつも……二杯は普通なんで」
「わお!」
それなら安心が出来る。だが、片想いの相手に気を遣わせ過ぎてもいけない。
出来るだけ食べようと、まずは大きな穴子から口にしてみたら。
見た目以上にサクサクの衣。甘辛いタレが天麩羅の衣に良く絡んでいて。天麩羅だけでもいけるがご飯も欲しくなる。
ついつい、いつもの会社での昼ごはんのようにパクパク食べ進めてしまっていた。
気がつくと、半分以下になっていたくらい。
そこで、我に返って不動を見れば。一心不乱に天丼にがっついていた。
前髪がずれて、あの綺麗なブルーアイが見えて。
その目はとても真剣に天丼と向かい合い。これが作法と言わんばかりに、どんどんどんどん天丼が彼の胃袋へと消えていく。
その勢いに飲まれて、真衣は天丼を食べる手を止めてしまっていた。
「あ……腹いっぱいになりました?」
丼をおろすと前髪も元に戻ってしまったが、真衣は聞かれたので手をぶんぶんと顔の前で振った。
「いえ! とっても美味しいです!! ちょっと……不動さんの食べっぷりに圧倒されちゃって」
「あ、すんません。勝手に食べ進めちゃって。俺……天丼には見境ないから」
「そんなにお好きなんですか?」
「毎日三食は天丼でもいいくらいです!」
「ぷ!」
そんなに食べまくっても飽きないことにもだが、太らない体質にも羨ましく思えた。
「? 俺おかしなこと言いました?」
「違います。そんなに高カロリーなものを食べ続けても太らないのが、羨ましいなって」
「まあ…………アラサーでも、まだ若いんで」
「そうですね?…………残り、お願いしていいですか?」
「もちろん」
不動の食べっぷりを見ていると、流石にこれ以上は食べれないと実感出来たので。丼を渡せば、彼はまたすごい勢いで食べ進めてくれたのだった。
「蕎麦茶です」
ゆっくりしていると、店員が食後のお茶を持ってきてくれたので。温かいお茶に、真衣はほっと出来たのだった。
「不動さん、いつもご贔屓にありがとうございます。ちょっといい企画があるんですよ」
店員が手にしていた広告を一緒に見ると、不動が喜びそうなものが記載されていた。
「……バレンタイン企画、デカ盛り天丼選手権?」
「はい、彼女さんも観覧だけでも参加されませんか?」
「え?」
「……彼女、じゃないです。恩人です」
「あら、すみません」
彼女じゃないのは当然だが、想いを寄せているのに変わりないので少し胸が痛んだ。
天丼が来る前の、あの照れ隠しに自惚れかけたのだが違うのだろうか。
「けど」
不動が顔を上げて、真衣を見てきたのだ。前髪から見え隠れするブルーアイがしっかりと向けられた。
「けど?」
「俺……参加したいんで、応援には来てもらえませんか?」
「い……いんですか?」
「もちろん」
「じゃ、不動さん。こちらの参加希望にお名前だけいただけますか?」
「はい」
飲み会もあるのに、次の約束があるだなんて。
デートではないのに、デートの約束をする感じだった。
と思ったところで、今のこの時間もある意味デートでは、と。不動が記入している間に顔が熱くなるのを感じた。
もしかしなくとも、不動も同じ気持ちでいてくれるかもしれないから。
赤くなった顔を手で隠すのも、何だか年上なのに可愛らしく見えて。
真衣は、もっともっと彼のことが知りたいと思ったのだった。
そして、注文した天丼が到着すると、その圧倒的な天麩羅のサイズに目を丸くしたと思う。
「お……っきい、ですね?」
野菜もだが、穴子らしき長い天麩羅もめちゃくちゃ大きい。これは食べ切れるか、流石に心配になってきた。
「あ……すんません。いつもの頼んじゃって。もし……残ったら、俺が食います」
「え、こんなに多いの。不動さん、食べ切れるんですか??」
「いつも……二杯は普通なんで」
「わお!」
それなら安心が出来る。だが、片想いの相手に気を遣わせ過ぎてもいけない。
出来るだけ食べようと、まずは大きな穴子から口にしてみたら。
見た目以上にサクサクの衣。甘辛いタレが天麩羅の衣に良く絡んでいて。天麩羅だけでもいけるがご飯も欲しくなる。
ついつい、いつもの会社での昼ごはんのようにパクパク食べ進めてしまっていた。
気がつくと、半分以下になっていたくらい。
そこで、我に返って不動を見れば。一心不乱に天丼にがっついていた。
前髪がずれて、あの綺麗なブルーアイが見えて。
その目はとても真剣に天丼と向かい合い。これが作法と言わんばかりに、どんどんどんどん天丼が彼の胃袋へと消えていく。
その勢いに飲まれて、真衣は天丼を食べる手を止めてしまっていた。
「あ……腹いっぱいになりました?」
丼をおろすと前髪も元に戻ってしまったが、真衣は聞かれたので手をぶんぶんと顔の前で振った。
「いえ! とっても美味しいです!! ちょっと……不動さんの食べっぷりに圧倒されちゃって」
「あ、すんません。勝手に食べ進めちゃって。俺……天丼には見境ないから」
「そんなにお好きなんですか?」
「毎日三食は天丼でもいいくらいです!」
「ぷ!」
そんなに食べまくっても飽きないことにもだが、太らない体質にも羨ましく思えた。
「? 俺おかしなこと言いました?」
「違います。そんなに高カロリーなものを食べ続けても太らないのが、羨ましいなって」
「まあ…………アラサーでも、まだ若いんで」
「そうですね?…………残り、お願いしていいですか?」
「もちろん」
不動の食べっぷりを見ていると、流石にこれ以上は食べれないと実感出来たので。丼を渡せば、彼はまたすごい勢いで食べ進めてくれたのだった。
「蕎麦茶です」
ゆっくりしていると、店員が食後のお茶を持ってきてくれたので。温かいお茶に、真衣はほっと出来たのだった。
「不動さん、いつもご贔屓にありがとうございます。ちょっといい企画があるんですよ」
店員が手にしていた広告を一緒に見ると、不動が喜びそうなものが記載されていた。
「……バレンタイン企画、デカ盛り天丼選手権?」
「はい、彼女さんも観覧だけでも参加されませんか?」
「え?」
「……彼女、じゃないです。恩人です」
「あら、すみません」
彼女じゃないのは当然だが、想いを寄せているのに変わりないので少し胸が痛んだ。
天丼が来る前の、あの照れ隠しに自惚れかけたのだが違うのだろうか。
「けど」
不動が顔を上げて、真衣を見てきたのだ。前髪から見え隠れするブルーアイがしっかりと向けられた。
「けど?」
「俺……参加したいんで、応援には来てもらえませんか?」
「い……いんですか?」
「もちろん」
「じゃ、不動さん。こちらの参加希望にお名前だけいただけますか?」
「はい」
飲み会もあるのに、次の約束があるだなんて。
デートではないのに、デートの約束をする感じだった。
と思ったところで、今のこの時間もある意味デートでは、と。不動が記入している間に顔が熱くなるのを感じた。