シェアハウスの君と

 ああ、またこの夢だ。
 僕は昔から、この夢を見ている。
 夢の中だからか分からないけど、僕の身体はずっと軽い。
 どこまでも軽々と走っていけるような気分だ。
 なんていうんだろう、俺tueeeってこんな感じだろうか。
 全身から自信が湧き出て指先が熱で震える。
 なんでも自分の思い通りになりそうな気がする。
 この世界なら、なんでもできる。
 なんでも思い通りにできる。
 そんな気持ちがあふれて、僕は気づくと自信という名のエメラルド色のゼリーの海におぼれていた。
 鼻の奥がツンとして、息をしようとすればするほどずるずるとゼリーが体の中に入りこんでくる。青臭くて甘くイガイガとした味が舌の上から喉へと滑り落ちる。
 ゼリーだからどっしりと重くてところどころ、やけにぶよぶよとした重くてかたい塊ができているのが気持ち悪い。
 息ができないと一瞬パニックになるが、僕は自分に言い聞かせる。
 大丈夫、ここは僕の夢の中だ。
 そうして、僕は自分のてのひらを見つめる。
 ただ、見るのではなくてしっかりと見つめる。
 手相を見る占い師みたいにうーんとうなり声が出るくらいじいっと観察する。
 すべすべとした肌は本当の僕のものよりみずみずしい。太陽にあたった健康的な色をしている。血管の中はエネルギーのある血がしっかりとめぐっている。
 そして、決定的に違うのは僕の手にはっきりと大きな傷があることだ。
 ピンク色の肉がのぞくその傷は、じくじくと湿って熱を持っている。
 僕はその傷に意識を集中させる。
 現実の僕にはこんな生々しい傷はない。そうやって意識を集中させていると、エメラルド色のゼリーはすうっと軽い水になって溶けていく。
 さあ、いつも通り世界を見に行こう。
 僕はそうして夢の中をいつもどおり歩き始めた。