リーリーと虫の音がする。

 家からそっと抜け出して、もう陽が落ち黒に染まった学校へ忍び込む。

 22時前ということもあって、学校には灯りひとつもない。

 ちょっとこわいな、なんて思いながらも、買ったばかりのかわいいビキニを思い出せばそのくらいはへっちゃらだった。

 ちょっと奮発して高くてかわいいのを買ってしまった。

 ……見せる相手もいないのに。

 自虐的になりながらも、校門を潜り抜けグラウンドの脇を抜け、プールへと向かう。

 夏の夜は暑いけど、今日は少し風があって心地いい。

 プールの方からは水の跳ねる音がする。

 たぶん、カエルか何かが飛び込んだんだろう。

 それが涼しさを誘う。

 プールへと続く小階段の前にたどり着く。

 異変に気が付いたのはこの時だった。