――季節は移り変わり、秋になった。
制服も衣替えして、だんだんと肌寒くなってきた。
あんなにきれいな緑色だった木々は、赤や黄色に染まり紅葉している。
窓を開けて時折流れ込んでくる生ぬるい風をありがたがることもなくなった。
あいかわらず、人魚の彼は見つからない。
変わったのはiPodであの時の洋楽を聞く、それが毎日のルーティーンに加わった。ただそれだけだ。
毎日毎日、頑張って探しているけれど、どうしても見つからない人魚の彼。
2か月以上、毎日いろんなクラスを見てまわって、時には体育館、グラウンド、そしているわけもないプールにまで足を運んだけれど、どこにもいない。
我ながら、自分の執着心にドン引きだ。
きっと人魚の彼は、こんなわたしを見て笑っているに違いない。
……もしかしたら、同じ学校っていうのも嘘だったのかもなあ、という嫌な考えまで浮かんできてしまう。
毎日飽きもせず、ご飯を食べたら教室を出て人探しをするわたしを、友達のりかと京香は怪訝そうな目で見ていたけれど、最近はもう慣れたようでふたりはふたりの時間を楽しんでいる。
「……ねえ、探しても探しても見つからない人がいるんだけど、でも、どうしても見つけたくて、ふたりならどうする?」
わたしひとりの力ではどうにもなくなって、相談してみる。
「えー……、そもそもあたしは多分3日くらいさがして見つからなかったら諦めてるかな」
と、笑いながら言うりか。
「ゆりかはどうしてもみつけたいんだよね? わたしもりかと同じく1か月くらい見つからなかったら諦めちゃいそうだけど、そうだなあ。高いところから探してみるとか、あとは、そういえば最近あんまり行ってないな、って思う場所に行ってみるかなあ」
新しい発見があるかもしれないしと、校内で80円で買えるパックのジュースを飲みながら言う京香。
諦めるっていう選択肢がないわたしには、京香の言葉と手元を見て、ひとつだけ行ってない場所があったなと思い出してはっとした。
「ふたりともありがとう! ちょっとジュース買ってくる!」
「え、いきなり?」
驚く二人を尻目に財布を握りしめて立ち上がり、1階にある自動販売機へと一目散に走りだした。



