「今まで、誰にもバレたことなかったんだ」

「そうなの?」

「うん。もうきみは見ちゃったし、……というか見えちゃう人だったし、言うけど」

 そう言って、彼は自分の家系のことをざっくりと話してくれた。

 まず、彼の家系は人魚の末裔なんだそう。

 生粋の人魚ではないらしい。

 人魚の血はだいぶ薄いらしいのだが、彼はその家系の中でも珍しく、決まった条件が揃うと人魚の特徴が体に出てしまう体質のようだった。

 そして、その人魚の特徴となる『尾ひれ』と『赤毛の長髪』は、普通の人には見えないらしい。

 わたしのように見える人は珍しいのだそう。

 彼が物心ついたとき、自分の足が尾ひれになってびっくりして、彼の母も驚いたが、父だけは状況が全く分からなかったそう。

 つまり、見える人と見えない人がいるらしいのだ。

 そして、見える人の方が圧倒的に少ないらしい。

 少なくとも、人魚の血をひいていないと見えないらしいのだが、わたしの家系にそんな言い伝えはない。

 きっと、わたしが人魚が好きすぎて、見えちゃったのかなと思う。