8月25日、セミがうるさく泣き叫び、じわじわと蒸し暑い夕方5時。
隣のグラウンドから聞こえる野球部の掛け声がさらに暑さに拍車を掛けるようで、背中にじとっと汗がわく。
首から伝って胸に流れた汗に嫌気がさして、これからのことを思うとさらにため息まで出てくる始末だ。
「ゆりかー! まじがんばー!」
「ゆりかって、変なとこ真面目じゃなーい?」
「うざっ! さっさと帰れ!」
プールの柵の外側からそんな声がして、しっしっと手ぶりしながら思わず悪態をつく。
そんなわたしにギャハハと下品な笑い声を上げて、彼女たちは去っていく。
プールサイドに立つわたしの右手には、モップ。
夏休み前のテストでオール赤点を取って補習になった挙句、暑いからと補習を抜け出してプールで遊んでいたのがばれたのが昨日の話。
そして、プール開放日の最終日、つまり今日。
いままさに、その罰としてのプール掃除をするところなのだ。