「あ、……だから、その、」
「はい」
「……同じベッドに……、いたらヤダわ……って」
「は……」
息が止まるかと思った。なんて破壊力。
グンと胸が高鳴る。
今までだって、たくさんの女性に口説かれて口説いて、こんなの全然初めてじゃないのに、恥ずかしくって顔が熱くなる。
上手い言葉が見つからない。
スラスラと出て来た口説き文句が、臭いセリフが真っ白に消える。
「ジャ、ジャン、そ、その、ね。貴方は嫌かもしれないけれど」
たどたどしく言葉を紡ぐサクランボのような唇。
伺うようにオレを見つめる濡れた黒い瞳。
「私、貴方が、好き、みたい。ううん、違うわ。そうじゃなくて、その、好き……だから」
耳まで真っ赤になる。頭がぐらぐらに沸騰する。
好きだなんて、今まで何度も聞いてきた。飽きるくらい聞いて聞いて、聞き流す程度の言葉だった。
それなのに、どうしてこんなに胸が苦しくなるんだろう。