「もし使えていたとしても、それは些末な問題よ。イザベラ。悪いようにはしないわ。あのバカ息子にはよく言って聞かせるし、私が貴女の一番の味方になります。ただ、聖女の印についてだけは、どうか我慢なさい。バカ息子が嫌なら嫌でいいわ。その子がいいならそれでもいいのよ。交合っておしまいなさい」
イザベラは困ってしまって体を小さくするばかりだ。
「そしてその奴隷を解放してあげて」
その言葉に、イザベラは顔を上げた。驚いたように目を見開いてオレを見た。
唇が小さく『解放』と呟く。悲痛な顔で、もう一度『解放』と呟いた。
「オレはそんなこと望んでいません。そもそもご主人様に縛られてすらいない」
そう答えれば、シニョリーア伯爵夫人は呆れたように笑った。