「好きです」

 信じられないとわかっていても。

 イザベラは顔さえ上げない。

「あなたが好きです」
「ええ、知っていてよ、ジャン」

 口先だけで笑って微塵も信じていない。顔を赤らめることすらない。
 イザベラの顎にそっと指を添えて、少し強引にオレの目と合わせる。
 黒い瞳。宇宙のように深い色。その奥に輝く小さな星。

 ここまでしても、顔色が変わらない、何をされるかわかってない。

「あなたが、好きです。ご主人様としてではなく、貴女が好きです」

 自覚させるように言い聞かせる。わかって欲しい。伝わって欲しい。