「またあなたが選んだの」
「そうです」
「どうしてこんな!」
「ご主人様に着て欲しかったからです」
「私に恥をかかせる気?」
「オレが選んだ服が似合わなかったことがありますか?」
「!」
「セシリオ様は毎回可愛いとほめてくれるではありませんか」
「……でも、セシリオは、気を使って……」
「七つの子がそんな気を使うんですか? ご貴族様は」
「っ!」
少し最後がトゲトゲしかったかもしれない。
しかしイラついたのだ。俺が何度言っても拒絶するくせに、セシリオに言われればお世辞だと思いながらも喜ぶ、そんなのがムカついた。
オレだって何度も何度も言っているのだ。それなのに、嘘だと決めつけられる。絶対に信じない。
「綺麗です。ご主人様。誰よりも」
そう囁いて肩を抱けば、振り払われて部屋から逃げられた。
メイドたちがクスクスと笑う。