オレとメイドで町歩き用のドレスを選ぶ。
 いつもより少し派手でもかまわないだろう。上質だけれど仰々しくない軽やかなワンピースには、いつもは控えめなレースをふんだんに使った。家の林の中で好きだと言っていた菫の花柄のレースにしたのだ。いつかのために誂えておいてよかったっと思う。

 イザベラはそれを見て目を見張った。初めて着るペパーミントグリーンのワンピース。怖気づいたように鏡の中の目を泳がせた。
 メイドたちは気が付かないふりをして、準備を進める。
 
「ねぇ、これは少し派手ではないかしら?」
「いいえ、お似合いです」

 メイドたちはきっぱりと答える。

「本当によく似合っていますよ、ご主人様」

 自信なさげなイザベラの後ろに立って、声をかければギっと睨まれた。
 セシリオとはずいぶんな態度の違いだ。