「気がつかなくてごめんなさい」
「ううん。叔母さまがお父様とお母様を大切に思ってくれてるのは嬉しいの。でもね、なんていうかね……上手く言えないけど……」
「……うん、そうね、セシリオの言おうとしていること、叔母さまにも少しわかるわ」
「わかる?」
「このままじゃいけない、ってことかしから?」
「! うん! そう、そう思う! それだとお父様が悲しむと思うの」

 セシリオが少し大人びた顔で笑った。それを見てイザベラはセシリオを抱きしめた。

「愛しているわ。セシリオ」
「僕も。叔母さまが好き」

 二人は頬を擦り合わせて、目を合わせてから微笑みあった。そして改めて食卓に着く。
 本当に仲の良い二人。

 その姿を見て、オレの心にチクリと棘が刺さった。オレはあんなふうには愛されない。愛されたことがない。

 あんな風に。

 そう思いかけて頭を振った。