可愛くない女だ。

 思わず小さくため息を吐き出せば、イザベラは諦めたような顔で俺を見て笑った。

 イザベラはそのまま朝食へ向かった。オレはそれについていく。テーブルではすでにセシリオ坊ちゃまがイザベラを待っていた。

「叔母さま、かわいい!!」

 セシリオが立ち上がってイザベラに駆け寄る。
 イザベラは顔を真っ赤にして、膝を折ってセシリオを抱き留めた。

「とってもお似合いです! どこかにお出かけですか?」

 セシリオがキラキラとした目でイザベラを見て、小首をかしげた。

「いいえ。予定はないのだけれど……」

 答えを聞いて、セシリオはウフフと笑った。
 その笑顔にイザベラは相好を崩している。こんな顔、オレには絶対見せないのに。

「僕、嬉しい。叔母さまがずっと黒を着ていると、時間が止まってるみたいだったから……」

 その言葉にイザベラはハッとしたようだった。