からくり時計が音を鳴らして、イザベラが部屋から出てくる。
 無防備な寝間着姿のまま、オレを見て驚愕に慄いた。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 自由に出入りしていいなんて言っておきながら、なんてザマなんだろう。自分が言ったことと、実際に起こることの自覚が全然できていない。
 とんだ頭でっかちだ。

「おはようございます。ご主人様」

 にっこりと微笑めば、オレを指さしてパクパクと口を動かす。まさに声にならない、というところだろう。