だから、性奴隷はぶっちゃけ結構美味しい仕事だったりする。上手くやれば、衣食住は十分すぎるほど与えられるし、下手すれば平民の男からは羨望の眼差しで見られる。


「いや、お前の顔は見に来てない。何しろ、ここいらあたりで一番の奴隷を探しているお人だ。誰でも落とせる手腕が欲しいとのことだ。お前の話をしたら即金で一千万って言いやがった」
「一千万!?」
「ああ、すでに狂ってやがる」

 一千万といえば、奴隷相場の百倍だ。俺は前回百万で売られた。それだって破格だった。
 そして、奴隷が平民の権利を買うのに必要な金額は五百万。奴隷売買の半額は奴隷のものになる。
 ということはだ、その支払いが済んでしまえば奴隷は自由を手に入れるのだ。だから一般に奴隷売買はどんなに高くても一千万を超えることはない。

「どういうことだよ……。オレに自由になれってか?」
「さぁね。お代の半分は直接お前に払うそうだ。そっから先はしらねーよ。ただこっちにすれば、お前がソイツ食いつぶして戻ってきてくれたほうが稼ぎになる。お前も平民の身分を買うより、もう少しここで荒稼ぎして男爵の称号でも買ったほうがいいんじゃねーのか? どうする?」
「まぁ、どっちにしても、断るわけないよな」
「うまい話すぎて怖くねーか?」
「たしかに」

 行ったその場で殺されたりして。