「とても綺麗な手ね」

 そう言って、初めての日にオレがしたように、その手の甲に口づけた。

 あまりのことに言葉を失う。顔が紅くなる。溶けてしまいそうに顔が熱い。

 伺うようなイザベラと目が合って、息が止まる。

 オレの手を握ったイザベラの手を取り返して、小さな体を衝動的に引き寄せた。
 インクにまみれ、汗の匂いが染みついているシャツ。そんなオレの胸にイザベラは躊躇いなく引き寄せられる。

「良い匂いだわ」

 イザベラの声が胸に響いておかしくなる。