チーム戦も後半に入った頃、
しばらく黙っていた東郷さんは口を開いた。



「私、今日香月くんに告白する。」





「え……」


「なんでそんなに香月くんにつきまとってるのかわかんないけどさ、自分の言葉には責任もってよね。」


「……。」


「ちょっと、聞いてる?」


「え…あ…」


あれ、私おかしい。

なんで固まってるんだ?私。


告白…
告白?


東郷さんが香月くんに…


「言ったよね。邪魔しないって。」

「わ、わたし…「危ない!!!!」


え?

声にビックリしてコートの方を見ると、
こちらに猛スピードで迫るサッカーボール。


東郷さんに…当たるっ


バシィイ!!!


鈍い音を立て、ボールは私たちの斜め後ろに飛んだ。




「ちょ、麻ちゃん!」


「っ…」いっ

たぁ!!!


指の…変なとこ当たった…!

痛いぃ!!めっちゃ痛い!
捻挫かなんかしちゃったかも…


「麻!!!」


コートから一目散に走ってきてくれる人

「香月くん…」


「大丈夫か?見せろ。」

「っ…」

「突き指かな…保健室行こう。
立てるか?」

「うん…」


香月くんは痛めた手と逆の手をとって、
私を立ち上がらせてくれた。


「待って。」

「東郷さん…」

「私が連れていくよ。
試合中だし、香月くんは戻って。」

「あ…そっか。
悪いな、東郷。頼んだ。」

「うん…」

「泣くなよ、麻。」

「なっ泣かないよ!子供じゃないし。」

正直泣きそうなくらい痛かったけど。


香月くんは再びコートへ走っていった。


「行こっか。」

「うん。」


私は東郷さんと一緒に保健室へ歩いて行った。