その後、麻とは少し気まずいまま
カラオケフリータイムの終わりまでみんな歌い続けた。
**
「もうすぐ時間だよね。」
「ああ。会計行くか~
麻の手紙はファミレスとか行って開けようぜ。」
「うん。」
麻は静かに頷いた。
この感じ…もしかして、予知夢が当たってんのか…?
いや、まさか。
俺は馬鹿げた考えを捨て、
「わかった」と言って立ち上がった。
会計はそんなに混んでいなかった。
大連と四谷さんがお金をまとめて精算してくれている。
今のうちに適当に麻をからかって、
気まずいのリセットしておくか…
「おい、麻やっぱり歌下手だったな。」
「…。」
こ、コイツ…!
俺が気ぃきかせてやってんのに、無視するつもりかよ!?
「おい!最初のことなら忘れ…ってなっ!!
なんだよ!!」
麻は黙ったまま神妙な顔で俺の手を握ってきた。
「麻っ///!」
大連たちに見られたら誤解されんだろ!
「え…?」
一瞬見間違いかと思った。
だって意味わからんし。
麻のうつむく先にポタポタと水滴が落ちている。
俺の手を握る力が強くなった。
「なんだよ。体調でも悪いのか?」
「……ちがう。」
痛いくらいに握られている右手。
やめてくれ。
そんな反応するな。
まるで…
まるで…
「ごめん。ごめんね…香月くん…」
本当に俺が死ぬみたいじゃないか。