***


ああ、またか。




遠ざかる背中。


青い空。


気持ちにおいつかない身体。


静かな朝。


逃れられない





これは夢だ。

知ってる。

気づいてる。


それでも…


「いやあぁああぁ!!!!」



大粒の汗と涙を流して、
私は飛び起きた。


隣で誰かが煩わしそうに寝返りを打った。



「はぁ…はぁ…」


何度体験しても慣れない目の前の惨劇。

私は布団に顔をうずめた。


「そっか…サッカー部の合宿…」


合宿二日目の朝だと思い出し、
隣で眠る東郷さんが目を覚まさないように部屋を出た。


静かな廊下。

さっき時計を見たら5時過ぎだった。


シャワーを浴びて、落ち着こう。

夢だ。大丈夫。

香月くんが事故に遭うのは冬。まだ先だ。


そのはずなのに…


まるで、のんきに過ごす私に予知夢が警告して
いるような…

そんな危機感に震えた。