「香月くん!」
目の前には席に後ろ向きに座り、ニコニコと私を
見つめる香月くん。
教室で話しかけられたの、
友達になって二日目の朝以来…
「なんで俺がひどいんだよ。」
「自転車で来ないでって言ったのに!」
「"証拠"って調べてきたか?
意味がわかったなら、それに則した答えをどうぞ。」
「えっ、あ…証拠…」
私がまたあわあわしていると、
よっちゃんがさらりと助け船を出してくれた。
「香月くん、麻のことずっと避けてたのに。
どうして今日は話しかけてきたの?」
「んー。俺今まで得体の知れない七瀬に
びびってたけど…
こいつ、ただアホなだけだって分かったから。」
「ま、またアホって…!」
「アホだろ。」
「アホじゃない!信じてよ…。」
香月くんはやる気なさそうに私の顔を見つめる。
「な、何…」
「四谷さんは?七瀬の言う予知夢信じてんの?」
「え…!あ、いや~…」
「ええっ!!よっちゃん!?
信じるって言ってくれたよね!?」
「私が信じてるのは麻の言うこと。
正直予知夢自体は信じられないかな☆」
ガーーン
昨日からショックの連続なのですが…
「ま、まぁでも、麻には協力するよ。
本気みたいだしね。」
「うぅ…」
泣きそうだ…
「俺は信じないよ。だから付きまとうなよ。」
「えっ」
「ちょ、香月くん。いいじゃない!
麻は香月くんを守ろうとしてるんだよ?
ただの真面目なおバカさんなんだから。」
「おバカ…」
「怖くなくてもうぜぇもんはうぜぇ。」
香月くんは珍しくいい笑顔でそう言うと、
私の前の席から立ち上がり
自分の席へ戻っていった。