「これ!香月くんのチャリ。」
「どれどれ。うーん…案の定鍵かかってる。」
「ど…どうしよう…」
「うーん…」
そのとき、下校を知らせるチャイムが鳴った。
同時に「集合ー!」というサッカー部部長の
掛け声が聞こえる。
「や、ヤバい!香月くん来ちゃう!!!」
「慌てるな。しょうがない。隠すよ。」
「えっ」
よっちゃんは的確に私に指示を出し、
両サイドから香月くんの自転車を持ち上げて
部室棟の裏まで運んだ。
途中落ちてた小石を踏んで転びそうになったけど。
「よし、ひとまず今日は安心だね!」
「うん!ありがとう~、よっちゃん。」
「じゃあいつも香月くんを待ってるところ行くよ。」
「へ?なんで?」
私がキョトンとしていると、よっちゃんはぺしっと私の頭をはたいた。
「自転車がなくなった今日に限って麻が
いなくなってたら疑われるからでしょうが!」
「っあ!!た、たしかに…!」
「不器用!バカ!ドジ!」
「今日の悪口総集編…」
「ほら、急いで!」
「っ、うん!」
私とよっちゃんは急いで校門へ向かった。