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「おはよう。」
「…ああ。」
香月くんは不機嫌そうに声を出した。
一瞬目が合った。
よかった。
これは夢じゃない。
だって夢の中の香月くんは
いつも私に目もくれない。
目もくれず…
トラックに向かってまっすぐ進んでいく。
どんなに叫んでも泣いても…
絶対に止まってくれない。
「おい、顔色悪いぞ。」
香月くんに声をかけられ、ハッとなる。
「え…」
「目ぇ腫れてんぞ。」
私は慌てて顔を背ける。
今日、妙に夢っぽくなくて…
いっぱい泣いたからだ…。
「寝不足…かな!アハハ…」
「じゃあストーカーしに来んなよな。」
「アハハ~。」
適当に笑ってごまかすと、
香月くんはため息をついて自転車をこぎ始めた。
私もいつも通り香月くんの後ろを
ぴったりついていく。
よっちゃんは私の話を信じてくれるだろうか…
自分でも信じられないようなことなのに。
もし信じてくれなかったら…
私はこれからどうすればいいんだろう。
うう…憂鬱だ…
私はその時、香月くんが私を不審そうに
見ている視線に気づかなかった。