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「っっ!!!!」
目が覚め、自分の頬を伝う幾筋もの涙に触れる。
「はぁ、はぁ、…」
夢…
「よ…よかっ…」
夏なのに、私の歯はカチカチと音を立て、
抑えられないほどに全身が震え始めた。
どんどん夢が鮮明になっていく。
香月くんが死ぬ日は驚くほどの快晴だ。
予知夢が鮮明になるたびに、香月くんが…
一歩ずつ死に近づいていくような…
そんな感覚が拭えない。
もし、今のが夢じゃなかったら、
私はあのあとどうなっていたんだろう…
私は涙をごしごし拭いて、
震える体を自分の両手でぎゅっと押さえ込んだ。
もう限界だ…
一人で、これ以上この重荷を背負えない。
「麻~、遅れるよー。」
お母さんの呼び掛けに無言で立ち上がった。
よっちゃんに言う。
自分一人で抱えきれないなんて本当に情けない
けれど、
これからもっと鮮明になっていくであろう予知夢に
近づく香月くんの死に
一人で向き合うのは限界だった。
私の精神が壊れてしまいそうだ…
私は疲れきった体を引きずり、
今日も香月くんを守るために家を出た。