「香月くん、おはよう!!」

「…。」


またいつもの無視ですか。

香月くんが死ぬ予知夢を見始めてから
3週間がたったある朝


相変わらず私は香月くんの後ろを
自転車でつけ回す日々。

香月くんはそんな日常に慣れたようで、
私を適当にあしらうのも上手くなっていた。


むしろ時々不審そうに私を見る目…

それがなんだか妙に見透かされてるようで、
最近は私の方が落ち着かない。



空を見上げると驚くような青さ。

私は気分がよくて、大きく息を吸い込んだ。


「良い天気だね。
もうすっかり梅雨明けたね。」

「…。」


香月くんはやっぱり無視。

いつもなら「黙れストーカー」とか
「朝からつまんない話すんな」とか
なんだかんだ突っ込んでくれるのに…

今日はご機嫌斜めかな。



香月くんはどんどん自転車をこぐスピードを
上げていく。


「ちょ、香月くん!
危ないよ、待って!」

私が一生懸命追いかけても、まるで声なんて
届いていないようにぐんぐん進んでいく。

「香月くん!!!」





え、待って…

嘘……




どこまでも高く青い空に

真っ赤な血が舞い上がった。


私のそばに見慣れた自転車ががらくたになって
転がる。



「いやぁああ!!香月くん!!!!」