「おい、大丈夫か。香月。」
「ああ…」
「たしかに変な子だな。七瀬さん。」
「…。」
「でも、悪い子に見えないんだよなー。」
「そんなわけ…」
「お前、チャイム鳴る前
なんて言おうとしたの?」
『お前、俺のこと…』
「…お前、俺のこと殺そうとしてんの?って。」
「ブッ…!」
「おい、笑うとこか!?
あいつのあの目、見たろ。
なんか強い意思みたいなのあって…」
正直ビビった。
「お前は被害者意識持ちすぎ。
偏見入ってるよ。」
「毎日付きまとわれて、
被害者じゃなくてなんなんだよ。」
「俺はかっこいいと思ったけどな、七瀬さん」
「はぁ?」
大連の口調は俺をからかってるような感じ
じゃない。
「本気かよ…」
「だって、普通あそこまで言われたら折れるだろ。
なんか強いよな、七瀬さんって。」
「そりゃ毎日ストーキングするメンタル、
強い以外の何があんだよ。」
「今日逃げるんじゃなくて一緒に帰ってみれば。」
「無理。やだ。逃げる。」
「チキンだなぁ」
「っっ!!」
俺の怒りを予測して、
大連は教室棟の方へ走り出していた。
行き場のない怒りを落ちてた小石にぶつける。
「誰が校門なんか行くか。」
俺は心にモヤモヤを引っかけたまま、
部室棟の裏をあとにした。