「ほら、押すぞ」

「うん。っ…あ、痛…

つ、強いよ…!」


俺は何を見せられてるんだ…。

今すぐこの場から全力ダッシュしたい。


「ホント、麻は身体固いなぁ」

「な、なんでそんなこと知って…



あ」


七瀬さんはなにかを思い出したように、
突然黙りこんだ。


ふとその表情を見ると耳まで真っ赤にしている。


それを見て七瀬さんの思い出したであろうシチュエーションを察した。

と、同時に俺の顔も熱くなるのを感じる。


続けて香月の顔を見ると、とんでもなく腹の立つどや顔。


「じゃ、交代。」

「う、うん。」

「弱い。もっと強く。」

「うう…」

「ホント、麻は不器用だな。」

「知ってるよぉ」


子供っぽくからかってても、結局高校生らしく進展してたって訳だ。


俺はまったく何にも気にしてない振りをして、一人でストレッチを続けた。