「麻、大丈夫?」
ホームルームが終わっても青い顔で固まっている
私に、よっちゃんが心配そうに声をかけてくれた。
「うん…。」
「ホームルームで大声出しちゃったことなんて
気にするなって!」
「そう…だね。」
私が元気のない笑顔を向けると、
よっちゃんは不安そうに眉を下げた。
「麻…昨日からなんか「七瀬。」
低い声で自分の名字を呼ばれることなんて
めったにないから、ドキッとして顔を上げた。
「香月くん…」
香月くんのとなりにはクラスで香月くんとよく
一緒にいるサッカー部の大連くん。
クラスで男子に、しかも上層部に…!
話しかけられてる…!!
「な、なんでしょう…」
「何叫んでたの?」
「ちょっと…あは。」
顔…まともに見れない…。
「変なやつ。
四谷さん、いっつもこいつこんなん?」
「え、あ…まぁそうね。」
「ひどい!」
よっちゃんは不審そうに私の顔を見る。
私の変な様子をまだ気にしているようだ。
「ふーん。じゃあまた。」
「うん…ごめんね。」
「ごめん?何が?」
し、しまった…!
つい謝ってしまった…。
「なんでもない!口癖なだけ!」
「そう…」
香月くんと大連くんは「じゃあ」と言って、
自分の席に戻っていった。