「予知夢はもう終わったのか?」
私が話し終えると、香月くんはそう質問した。
「うん、きっと。」
「あのバスは?」
「事故の鍵は香月くんだったと思う。
それに、今のところ事故があったっていうニュースもないし、もう大丈夫。」
「そうか…」
その表情からは安堵が読み取れた。
「今まで、信じて付き合ってくれてありがとう。」
「なんで麻がお礼言うんだよ。」
「嬉しかったんだよ。本当に。」
私が笑顔を浮かべると、香月くんは真剣な表情で私の目を見つめ返した。
「それで、麻は結局俺が好きなのか?」
「っ…///」
それ、さっきも説明の一貫で言ったのに…!!
「バス停でいきなり名前呼びだしな。」
「そ、それは必死で…!」
香月くんはいつも通りの意地悪な笑顔を浮かべた。
「っ~~!好きだよ!
本当は大好きだよ。信乃…」
「…」
「これからもそばにいたい。です…」
絞り出すように言って、ふと顔を上げると、
香月くんは顔を真っ赤に染めていた。
「答えがおせぇよ。」
「うん…っ」
また涙が一粒落ちた。
そっと香月くんに近づき、
引き合うようにキスをした。
そして二人で心の底から笑顔を浮かべる。
始まりは悪夢だった。
私にとっても香月くんにとっても。
お互い好きでもなんでもない存在だったのに…
言葉で未来は変えられる。
そうだね。きっとそうだ。
だって、私の言葉で行動で今香月くんと笑い合えている。
「今日からまた末永くよろしくね!」
「ああ。今後も麻で遊べると思うと嬉しい限りだ。」
「素直じゃないな。」
二人で笑い合い、もう一度キスをした。
願わくば
今夜も夢を見よう。
香月くんと…信乃と何年も何十年も暮らす夢。
最期は大好きな君のそばで
眠るように目を閉じる夢。
そして、目が覚めて温かい涙が流れていたらいい。
いつかそんな夢を見る夢を描いて、
これからも信乃のとなりで眠りたい。
生きていきたい。
Fin