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「おい、そろそろ説明しろ。」

香月くんは泣きじゃくる私に区切りをつけるように声をかけた。


「ご、ごめん…えっと…」

「とりあえず家に帰るぞ。風邪引く。」

「でも、学校は…?部活は…!」

「部活は行くよ。
ずぶ濡れのお前を放って行くような男に見えんのか。」

「そういうわけじゃないけど…」

「お前んちは?
着替えある方が都合いいだろ。
家の前まで送ったら、俺は学校行くから。」

「あ、
今日はお母さんも朝早くからパートだから…
香月くんも上がって。
私のせいで制服濡れたよね…。」

香月くんは一瞬言葉をつまらせた。

「…わかった。
行くぞ。」


香月くんは私の手を引いて歩き出した。

傘は一本しかない。


肩に、手に、
香月くんの体温を感じる。



生きている…



生まれて初めてそのことを実感した気分だ。


温かい涙は冷たい雨と一線を画す。

嬉しくて、嬉しくて、
涙が止まらなかった。