川崎橋の方で花火が上がり始め、花火はクライマックスを迎え始めたが、帰り始めた人もある。 「このあと、旦那と会うから」 美織は駅の地下への階段に消えてゆく。 一慶はしばらく花火をぼんやり眺めていたが、 「…俺も、どっかで何か間違えたのかな」 北浜の駅に背を向けると、淀屋橋の方へ歩き始めた。 【完】