美織は一慶と別れたあとに知り合った会社の若社長の玉の輿に乗ったらしく、見たところはしあわせそうに一慶にはうつった。

「でもね、うちの人…多分あれ浮気してるんやないかな」

 美織は気づいているらしい。

「これがね、北新地とかミナミのお姉ちゃんやったら、まぁ向こうも遊びのプロやし、そういうもんかなって思うけど」

 どうやら従業員で、プロではないらしい。

「中濱くんは…浮気できるほど、器用やなかったもんなぁ」

 美織は、手に持っていた缶の酎ハイに口をつけた。

「…どこで何を間違ったのかな?」

「日下部は間違ってないと思う」

 一慶は旧姓で呼んだ。