美織と一慶はかつての恋人同士で、結婚の手前までいったものの、一慶の昔の彼女に関係を壊されたのがきっかけで美織が離れてしまい、一慶も大阪を離れた。

「あれから、どう?」

「向こうでいっぺん結婚はしたけどダメで、今はバツイチ」

 一慶は殻を割ったような言い回しをした。

 ドン、と花火が始まったらしく、一瞬明るくなっては再び明滅して、花火は果ててゆく。

「あの緑はマグネシウムかな」

 花火の色から金属を言った一慶を見て、

「まるで変わってないから、つい」

 美織はクスクス笑い出した。