「・・・覚悟はいいかお前ら。」
花ちゃんの声が教室にやけに静かに響く。
ゴクンとつばを飲み込んで、
自分がかなり緊張している事に気づく。
こんなに心の底から何かを願うのはいつぶりだろうか。
私の記憶が正しければ…そうだあれは確か、小学校2年生のクリスマス。
まだサンタさんの存在を信じていた私は、
当時流行っていた戦隊ものの変身道具が欲しいと願ったのだ。
結局欲しかったものは手に入ったのだが…、
あの日の事は鮮明に覚えている。
ゴソゴソ、という物音で目を覚ましてしまった私は、
部屋の中に誰かがいる事に気が付いて。
サンタさんだ!!なんて気持ちを高ぶらせた私は、
その姿を一目見たいと布団から少しだけ顔を出したのだ。
その時私の目に映ったのは何やら黒いズボン。
あれ?サンタさんって赤い服着てるんじゃないの?
なんて思った私が視線を徐々に上に挙げれば、上着も真っ黒で、
見たことがありすぎるその服はいわゆるスーツ・・・いや、もうやめよう。
ね、自ら幼少期の傷をえぐることは無い。
「いくぞ!」
花ちゃんの掛け声に続いて、
皆の声が重なる。
ああ、どうか神様お願いします。
「「「最初はグー、じゃんけんポイッ!!」」」
負けませんように!
右を見ればグー、グー、グー、チョキ、グー、グー。
そして私は、チョキ。
「はい体育祭実行委員は秋山と森田に決定!」
「そんな・・・!!」
勝ったクラスメイトが喜びの歓声を上げる中、
私の口からはため息がこぼれた。
10月に行われる体育祭。
その体育祭実行委員決めが、今日のホームルームで行われていた。
私たちの体育祭は、毎年文化祭と同じくらい盛り上がる。
全てのクラスが優勝を狙っており
恐ろしいくらいにガチなのだ。
体育祭の準備、種目の振り分け、クラスの練習日程の調整など、
ガチな分体育祭実行委員の仕事は大変で毎年誰もやりたがらない。
そのためジャンケンで負けた2人がやる事になったのだが。
「秋山・・よろしくな・・。」
「よろしく、森田くん・・。」
見事負けたのは私と坊主頭の彼、野球部員の森田くん。
お互いの顔を見て苦笑い。2人して一瞬で老けた気がする。
「ほら2人とも覇気がないぜー!元気出してけって!」
そう言って私たちの肩を叩くのはにやにや笑う花ちゃんで。
くっそう、むかつく。
「秋山、さすがだね。」
「・・それ馬鹿にしてるよね?」
「してないしてない。」
席に戻れば寝ていたはずの春原くんは顔を上げて私にそう声をかける。
そんな彼の口角は少し上がっていて。
・・明らかに馬鹿にしてますね、はい。
花ちゃんの声が教室にやけに静かに響く。
ゴクンとつばを飲み込んで、
自分がかなり緊張している事に気づく。
こんなに心の底から何かを願うのはいつぶりだろうか。
私の記憶が正しければ…そうだあれは確か、小学校2年生のクリスマス。
まだサンタさんの存在を信じていた私は、
当時流行っていた戦隊ものの変身道具が欲しいと願ったのだ。
結局欲しかったものは手に入ったのだが…、
あの日の事は鮮明に覚えている。
ゴソゴソ、という物音で目を覚ましてしまった私は、
部屋の中に誰かがいる事に気が付いて。
サンタさんだ!!なんて気持ちを高ぶらせた私は、
その姿を一目見たいと布団から少しだけ顔を出したのだ。
その時私の目に映ったのは何やら黒いズボン。
あれ?サンタさんって赤い服着てるんじゃないの?
なんて思った私が視線を徐々に上に挙げれば、上着も真っ黒で、
見たことがありすぎるその服はいわゆるスーツ・・・いや、もうやめよう。
ね、自ら幼少期の傷をえぐることは無い。
「いくぞ!」
花ちゃんの掛け声に続いて、
皆の声が重なる。
ああ、どうか神様お願いします。
「「「最初はグー、じゃんけんポイッ!!」」」
負けませんように!
右を見ればグー、グー、グー、チョキ、グー、グー。
そして私は、チョキ。
「はい体育祭実行委員は秋山と森田に決定!」
「そんな・・・!!」
勝ったクラスメイトが喜びの歓声を上げる中、
私の口からはため息がこぼれた。
10月に行われる体育祭。
その体育祭実行委員決めが、今日のホームルームで行われていた。
私たちの体育祭は、毎年文化祭と同じくらい盛り上がる。
全てのクラスが優勝を狙っており
恐ろしいくらいにガチなのだ。
体育祭の準備、種目の振り分け、クラスの練習日程の調整など、
ガチな分体育祭実行委員の仕事は大変で毎年誰もやりたがらない。
そのためジャンケンで負けた2人がやる事になったのだが。
「秋山・・よろしくな・・。」
「よろしく、森田くん・・。」
見事負けたのは私と坊主頭の彼、野球部員の森田くん。
お互いの顔を見て苦笑い。2人して一瞬で老けた気がする。
「ほら2人とも覇気がないぜー!元気出してけって!」
そう言って私たちの肩を叩くのはにやにや笑う花ちゃんで。
くっそう、むかつく。
「秋山、さすがだね。」
「・・それ馬鹿にしてるよね?」
「してないしてない。」
席に戻れば寝ていたはずの春原くんは顔を上げて私にそう声をかける。
そんな彼の口角は少し上がっていて。
・・明らかに馬鹿にしてますね、はい。