その後、ストーカー(?)事件の事はとりあえず花ちゃんにだけ伝えとくことにして、しばらく様子を見るという事に決まった。部活帰りは出来るだけ1人では帰らないようにする、とも決めて。
何かされた訳ではないし、本当に勘違いかもしれないし大げさだよ、とさっちゃんは笑っていたけれど。
・・・もちろん心配である。だってこんなの完璧にストーカーじゃないか。しかも、この学校の生徒かもしれない。
そしたら無くなったシャーペンやノートも関係あるのだろうか。いつどうやって盗んだのだろう、さっちゃんの後をつけてどうするつもりだったんだろう。お家を特定するとか?いやでも・・
「・・・ねえ。」
不意に声がして顔を上げれば、
目の前にあったのは相変わらず眠そうな彼の顔。
「何回も呼んでるんだけど。・・ホームルーム終わったよ?」
「・・ごめんボーっとしてた。」
春原くんの言葉に周りを見れば、気づけば人がまばらになっていて。
さっきまで帰りのホームルームをやっていたはずなのに・・。
考え事をしすぎて意識が飛んでいたみたいだ。
私の顔を覗き込んで、
春原くんは少し呆れたように眉を下げる。
「白河の事考えてたの?」
「・・・うん、そう。」
春原くんの言葉にまた意識が考え事がはじまってトリップしかけた私。
ふああ、と一度欠伸をした彼は、私の名前を呼んで。
「・・秋山。」
「なに?」
「無い頭で考えてどうするの。」
「なんで急にディスり始めた?」
失礼だこの人は。
「考えても分からない事は分からないよ。」
「・・・そうだけど、」
「とりあえず花ちゃんも動いてみるって言ってたし。
秋山がそれでずっと頭悩ませてたら、白河だって罪悪感持っちゃうと思うよ。」
「・・・。」
俯いた私の頭を、
春原くんが持っていたノートで一度優しく叩く。
「心配なのは分かるけどさ。俺らだって出来ることやるし。」
「・・・うん。」
春原くんの声が優しくて、
焦っていた心が凪いでいく。
失礼だ、と思った彼は
どうやら私を元気づけてくれようとしたみたいで。
「だから、考えすぎない事。分かった?」
「・・・分かった。」
「よろしい。」
私がそう返事をすれば
頭上でふっと春原くんが笑った気配がする。
更に人が減っていく教室を一度見まわして、
彼はもう一度私の名前を呼んだ。
「帰ろう。花ちゃんにまた雑用頼まれたら大変だ。」
「そうだね。それは困る。」
「・・そういえばホームルーム中に名前呼ばれてたよ。」
「え、わたし?」
「そう。考え事してて気づいてなかったみたいだけど。」
秋山め、またボーっとしやがって、って言ってたよ、
なんてことを春原くんが涼しい顔で言う。
「うそ!あの人絶対根に持つじゃんそんなの!」
「根に持つねえ。」
「それこそまた雑用頼まれそうだよ・・ああどうしようやらかした。」
「まあ嘘だけど。」
「・・・。」
隣を見れば、彼は涼しい顔のまま。
「・・サラッと嘘つくのやめてもらっていい?」
「ごめん。」
「思ってないでしょ。」
ジトッと横目でにらめば、
彼はその視線さえサラリと受け流す。
「・・・春原くん、やっぱ意地悪。」
私の言葉に彼はまたふっと笑って、
さ、帰ろう。と教室のドアを出るのだった。
何かされた訳ではないし、本当に勘違いかもしれないし大げさだよ、とさっちゃんは笑っていたけれど。
・・・もちろん心配である。だってこんなの完璧にストーカーじゃないか。しかも、この学校の生徒かもしれない。
そしたら無くなったシャーペンやノートも関係あるのだろうか。いつどうやって盗んだのだろう、さっちゃんの後をつけてどうするつもりだったんだろう。お家を特定するとか?いやでも・・
「・・・ねえ。」
不意に声がして顔を上げれば、
目の前にあったのは相変わらず眠そうな彼の顔。
「何回も呼んでるんだけど。・・ホームルーム終わったよ?」
「・・ごめんボーっとしてた。」
春原くんの言葉に周りを見れば、気づけば人がまばらになっていて。
さっきまで帰りのホームルームをやっていたはずなのに・・。
考え事をしすぎて意識が飛んでいたみたいだ。
私の顔を覗き込んで、
春原くんは少し呆れたように眉を下げる。
「白河の事考えてたの?」
「・・・うん、そう。」
春原くんの言葉にまた意識が考え事がはじまってトリップしかけた私。
ふああ、と一度欠伸をした彼は、私の名前を呼んで。
「・・秋山。」
「なに?」
「無い頭で考えてどうするの。」
「なんで急にディスり始めた?」
失礼だこの人は。
「考えても分からない事は分からないよ。」
「・・・そうだけど、」
「とりあえず花ちゃんも動いてみるって言ってたし。
秋山がそれでずっと頭悩ませてたら、白河だって罪悪感持っちゃうと思うよ。」
「・・・。」
俯いた私の頭を、
春原くんが持っていたノートで一度優しく叩く。
「心配なのは分かるけどさ。俺らだって出来ることやるし。」
「・・・うん。」
春原くんの声が優しくて、
焦っていた心が凪いでいく。
失礼だ、と思った彼は
どうやら私を元気づけてくれようとしたみたいで。
「だから、考えすぎない事。分かった?」
「・・・分かった。」
「よろしい。」
私がそう返事をすれば
頭上でふっと春原くんが笑った気配がする。
更に人が減っていく教室を一度見まわして、
彼はもう一度私の名前を呼んだ。
「帰ろう。花ちゃんにまた雑用頼まれたら大変だ。」
「そうだね。それは困る。」
「・・そういえばホームルーム中に名前呼ばれてたよ。」
「え、わたし?」
「そう。考え事してて気づいてなかったみたいだけど。」
秋山め、またボーっとしやがって、って言ってたよ、
なんてことを春原くんが涼しい顔で言う。
「うそ!あの人絶対根に持つじゃんそんなの!」
「根に持つねえ。」
「それこそまた雑用頼まれそうだよ・・ああどうしようやらかした。」
「まあ嘘だけど。」
「・・・。」
隣を見れば、彼は涼しい顔のまま。
「・・サラッと嘘つくのやめてもらっていい?」
「ごめん。」
「思ってないでしょ。」
ジトッと横目でにらめば、
彼はその視線さえサラリと受け流す。
「・・・春原くん、やっぱ意地悪。」
私の言葉に彼はまたふっと笑って、
さ、帰ろう。と教室のドアを出るのだった。