その器用さは仕事にも活かされていたようで、アンティークの雑貨を扱う店長でもあった一徹が、在庫のカップや皿で割れたり欠けが出た物があると、 「まぁこうやって直すしかないから」 と、罅(ひび)のいった箇所を敢えてわざと割ったあと、樹脂のパテで繋いで、人工漆と真鍮の粉で蒔絵を施して、アウトレット品にした。 「今どき金継ぎなんか流行らんやろけど、赤字よりはえぇ」 といい、これが金継ぎになると、青い絵付のカップやソーサーに映えた。