私は期待する気持ちを抑え込んだ。


翌日、クラスメイトのみんながお見舞いに来てくれた。

病室の扉がゆっくりと開けられ、懐かしい声が響いた。

「キャースズメ! 元気ィー?」
「元気なわけないじゃん。私、一応病人だよ!」

おちゃらけながら言葉を返す。
懐かしい顔がいっぱい揃っている。

陽菜、有紀、紗那、菜美も来てくれた。克也や翔もいる。
みんないつもと変わらない。

学校に行かなくなってからまだひと月も経っていないのに妙に懐かしく感じられた。

合わせて六、七人ほどになるだろうか。
思っていたより人数が多くてびっくりした。

期待しないと言いながらも無意識の彼の姿を捜していた。
でも、彼の姿はやはり無かった。

ちょっとがっかりして諦めかけた時、最後にトボトボと遠慮がちに入ってきた人影に心臓がきゅっとなる。

彼だ。来てくれたんだ。

彼がこっちを向いた。
でもその瞬間に私は思わず目を逸らした。

なぜ、目を逸らす? 
心の中で自分に叫んだ。

ひさしぶりのクラスメイトとの再会に会話が弾んだ。
新しい担任のこと、部活動、転校生のこと。話は尽きなかった。

みんなと話をしている間、彼は遠慮がちにずっと部屋の隅っこに立っていた。

話の輪に入りづらいのだろうか。内気な彼らしいが、もう少しこっちに来なさいよ、と叫びたかった。
でも、あえて私から声を掛けることをしなかった。

それどころか顔を向けることもできなかった。
恥ずかしかったのか、怖かったのか、自分でも分からない。

ちょっと声を掛けるだけでいいのに、そのちょっとの勇気が出なかった。
私ってこんなに素直じゃなかったっけ? 
前はあんなに素直になれたのに。

みんなは変わらず元気そうだ。
懐かしいみんなと話ができて、自分も元気になった気がした。

本当に元気になって、早く学校に戻りたい。
心の中で思わずそう叫んだ。

アッという間に時は過ぎてゆき、みんなが帰る時間になってしまった。

みんなにお別れとお礼を言った。
急に寂しさが込み上げてきた。

みんなが部屋から出ていくと、病室の中は冷え切ったように静まりかえり、さらに寂しさが増した。

部屋の中が急に暗くなったように感じる。
不安な気持ちと寂しさが私の心を襲った。

自分は病気なんだという現実に引き戻される。