マジメなハジメと蒼いスズメの恋愛リハーサル

翌日、朝一番に登校すると、真っ先に掲示板を確認した。

そこにハルノートが貼りだされてる様子は無かったので少しホッとする。
もしかして今日なら忘れ物として届いてるかも? 

僕はひそかな期待を抱きながら用務室に向かった。

「すいません!」

神様に祈るような気持ちで叫んでいた。

アースラがめんどうくさそうな顔をしながら奥から出てくる。

「朝っぱらから何? あら、また君?」
「すいません。ノート、やっぱり届いてませんか?」
「しようがないわねえ、どうだったかしら」

アースラはあからさまにめんどうくさいという仕草をしながら奥の棚へと向かった。

「あら、あったわ!」

アースラのびっくりしたような叫び声が聞こえた。

 ――え? 本当?

「そんなに大事なものだったらもう失くさないようにね」

アースラは呆れた顔をしながらも丁寧にハルノートを渡してくれた。この時のアースラは美しい女神に見えた。

どうやら昨日、僕が帰ったあとに届けられたようだ。

僕は溢れる喜びを隠せないままそれを抱きかかえて走り出し、そのまま屋上のペントハウスへ向かう。
この時間ならは屋上に生徒はいないはずだ。

まわりに誰もいないことを確認しながら恐る恐るページをめくる。
胸の高鳴りが激しくなる。

最後のページ。
僕の書いたヘタクソな文字のあとに、前と同じ丁寧な筆跡でまたメッセージが書かれていた。


  メッセージにお返事を書いてくれてありがとうございます。
  とても嬉しかったです


やった! やっぱり同じ人が拾ってくれたんだ。
の中でガッツポーズをする。


           ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


  小説を書くのをもう止めてしまうのですか? 私はもっとあなたの書いた  お話を読みたいです。
  人を感動させることができるなんてこんな素敵なことはないと思います。

  私がずっとあなたのファンになります。

  受験とかいろいろ大変だと思いますが、またあなたの物語が読める日を楽  しみにしています。


  追伸

  このノートはそのまま屋上に置いておこうかとも思ったのですが、誰か他  の人に見られるのが恥ずかしかったので用務室に届けてしまいました。勝  手にごめんなさい




文章からすると女の子のようだ

 ――と勝手に決めつける。

僕はこの人をペン子さんと名付けた。

ペンギンのイラストがあったから頭に浮かんだのだけだが、もっといいネーミングをしたかったが僕のボキャブラリーの限界だ。