「あー、真面目くん、こんなとこに居た」
妙に明るい聞き覚えのある声が響く。
顔を上げると腕を後ろに組みながら立っている彼女がいた。
その日、僕は昼休みは校舎の中央にある中庭のベンチにひとりで座っていた。
あの日以降、僕は昼休みに屋上に行かなくなった。
いや、行けなくなったというほうが正しいだろう。
デートが散々だったので麻生さんと顔を合わせるのが気まずくなったのだ。
「あ、こんにちは」
ベンチに座っている僕は縮こまるように小さく挨拶をした。
「最近、屋上に顔見せないじゃん。どうしたの?」
僕は答えに困った。
「ごめん」
「私に謝ることはないけどさ。まさかとは思うけど、菜美ちゃんや私のこと避けてる?」
相変わらず遠慮なくストレートにをしてくる。
「いや、避けてるってわけじゃないんだけど・・・・・なんか、やっぱり・・・・・」
「やっぱり・・・・・?」
「何か顔を合わせづらくって・・・・・」
「それを避けてるって言うんだよ」
「ごめん、確かにそうだね。でも、僕、麻生さんを随分怒らせちゃったし。きっと向こうも会いたくないと思ってるよ」
「何でそう決めつけるかなあ。あのさ、菜美ちゃんの気持ちはともかく、自分はどうなの?」
「自分って?」
「君の気持ちだよ! 好きなんでしょ? 菜美ちゃんのこと」
「・・・・・」
僕は答えることができなかった。
そうなんだ。
僕はまだ自分の気持ちの答えが見つけられていなかった。
「どうしたの?」
「考えてたんだ」
「何を?」
「この前、僕が葵さんに言った言葉。好きじゃなかったら付き合う資格がないって言ったよね」
「確かに言ってたけど・・・それが何?」
彼女を見ると顔色がサアッと冷たく変わったのを感じた。
「まさか、菜美ちゃんを好きじゃない・・・・・なんてこと言うんじゃないよね?」
僕は黙って俯いていた。
肯定も否定もできなかった。
「実はよく分からないんだ。自分でも」
「ちょっと、冴木くん?」
彼女はびっくりした顔して僕を睨んだ。
「正直言うとさ、僕、そもそも女の子と付き合う自信がないんだ。おもしろいこと全然言えないし、喜ぶこと何もできない。僕と一緒にいてもつまらないと思う」
「それって自分から告白しておいて無責任じゃない?」
「その通りだよね。自分でもひどいヤツだと思う」
妙に明るい聞き覚えのある声が響く。
顔を上げると腕を後ろに組みながら立っている彼女がいた。
その日、僕は昼休みは校舎の中央にある中庭のベンチにひとりで座っていた。
あの日以降、僕は昼休みに屋上に行かなくなった。
いや、行けなくなったというほうが正しいだろう。
デートが散々だったので麻生さんと顔を合わせるのが気まずくなったのだ。
「あ、こんにちは」
ベンチに座っている僕は縮こまるように小さく挨拶をした。
「最近、屋上に顔見せないじゃん。どうしたの?」
僕は答えに困った。
「ごめん」
「私に謝ることはないけどさ。まさかとは思うけど、菜美ちゃんや私のこと避けてる?」
相変わらず遠慮なくストレートにをしてくる。
「いや、避けてるってわけじゃないんだけど・・・・・なんか、やっぱり・・・・・」
「やっぱり・・・・・?」
「何か顔を合わせづらくって・・・・・」
「それを避けてるって言うんだよ」
「ごめん、確かにそうだね。でも、僕、麻生さんを随分怒らせちゃったし。きっと向こうも会いたくないと思ってるよ」
「何でそう決めつけるかなあ。あのさ、菜美ちゃんの気持ちはともかく、自分はどうなの?」
「自分って?」
「君の気持ちだよ! 好きなんでしょ? 菜美ちゃんのこと」
「・・・・・」
僕は答えることができなかった。
そうなんだ。
僕はまだ自分の気持ちの答えが見つけられていなかった。
「どうしたの?」
「考えてたんだ」
「何を?」
「この前、僕が葵さんに言った言葉。好きじゃなかったら付き合う資格がないって言ったよね」
「確かに言ってたけど・・・それが何?」
彼女を見ると顔色がサアッと冷たく変わったのを感じた。
「まさか、菜美ちゃんを好きじゃない・・・・・なんてこと言うんじゃないよね?」
僕は黙って俯いていた。
肯定も否定もできなかった。
「実はよく分からないんだ。自分でも」
「ちょっと、冴木くん?」
彼女はびっくりした顔して僕を睨んだ。
「正直言うとさ、僕、そもそも女の子と付き合う自信がないんだ。おもしろいこと全然言えないし、喜ぶこと何もできない。僕と一緒にいてもつまらないと思う」
「それって自分から告白しておいて無責任じゃない?」
「その通りだよね。自分でもひどいヤツだと思う」