「違うよ。別に責めてるわけじゃないんだよ。いや、もしかして私って嫌われてるのかなって思って。うるさくてウザいやつ・・・とかさ」
やっぱり人からはそういう風に見られてしまう。それは仕方がないことだ。
「なんてね。当てようか? なぜ君が人の目を見られないか」
彼女は悪戯っぽく笑いながら言った。
「恥ずかしいんでしょ。人の目を見つめるのが」
驚いた。
その通りだった。
そうなんだ。
僕は決して人の目を見たくない訳じゃない。
顔を見たくないわけでもない。
僕は人の目を見たとたんに恥ずかしくなってしまい、その目を逸らしてしまうのだ。
「どうして分かるの?」
「フフ。君だから言うえどさ、実は私も同じなんだ」
「え?」
「私も人と話す時、恥ずかしくて相手の人の目を見られないの」
彼女は視線を落としながら言った。
「嘘でしょ? 葵さんは全然そんなふうに見えないよ」
「この前、渋谷のカフェに行った時のこと、憶えてる?」
「うん。テーブルじゃなくてカウンター席に座ったよね」
「あれは恋愛テクニックなんかじゃないの。テーブル席で向かい合うと顔を見合わせちゃうよね。私、あれ恥ずかしくてダメなんだ」
彼女の意外な一面を見た気がした。
そして、それは彼女との距離を近く感じさせた。
「でも、全然そんなふうには見えないよ」
「そうでしょ? 頑張ってるんだよ、私。実は無茶苦茶無理してるんだなあ、これが。昔はよく『なんで人の目を見ないの?』とかよく怒られた」
「ああ、僕もある。でさ、そう言われるから懸命に目を見ようと頑張るんだけど、相手から見つめられると、すぐ恥ずかしくなって目を逸らしちゃうんだ」
「私はいつも目を逸らすな~逸らすな~って念じながら相手の顔見てるんだ。気分はほとんど自己催眠術か睨めっこみたいにね」
彼女はそう言いながらケラケラと大きな声で笑った。
「ちなみに知ってる? “睨めっこ”って、本来は“笑ったら負け”ではなくて“目を逸らしたほうが負け”っていうルールだったらしいよ」
「そうなの? 何か、不良のガンの付け合いみたいだね」
「元々は内気な人が多い日本人が他人に慣れるための訓練だったらしいよ」
「へえ、君っていろんなこと知ってるんだね」
彼女は感心しながらクスッと笑った。
そんな彼女を見ながら僕は不思議な気分に包まれていた。
やっぱり人からはそういう風に見られてしまう。それは仕方がないことだ。
「なんてね。当てようか? なぜ君が人の目を見られないか」
彼女は悪戯っぽく笑いながら言った。
「恥ずかしいんでしょ。人の目を見つめるのが」
驚いた。
その通りだった。
そうなんだ。
僕は決して人の目を見たくない訳じゃない。
顔を見たくないわけでもない。
僕は人の目を見たとたんに恥ずかしくなってしまい、その目を逸らしてしまうのだ。
「どうして分かるの?」
「フフ。君だから言うえどさ、実は私も同じなんだ」
「え?」
「私も人と話す時、恥ずかしくて相手の人の目を見られないの」
彼女は視線を落としながら言った。
「嘘でしょ? 葵さんは全然そんなふうに見えないよ」
「この前、渋谷のカフェに行った時のこと、憶えてる?」
「うん。テーブルじゃなくてカウンター席に座ったよね」
「あれは恋愛テクニックなんかじゃないの。テーブル席で向かい合うと顔を見合わせちゃうよね。私、あれ恥ずかしくてダメなんだ」
彼女の意外な一面を見た気がした。
そして、それは彼女との距離を近く感じさせた。
「でも、全然そんなふうには見えないよ」
「そうでしょ? 頑張ってるんだよ、私。実は無茶苦茶無理してるんだなあ、これが。昔はよく『なんで人の目を見ないの?』とかよく怒られた」
「ああ、僕もある。でさ、そう言われるから懸命に目を見ようと頑張るんだけど、相手から見つめられると、すぐ恥ずかしくなって目を逸らしちゃうんだ」
「私はいつも目を逸らすな~逸らすな~って念じながら相手の顔見てるんだ。気分はほとんど自己催眠術か睨めっこみたいにね」
彼女はそう言いながらケラケラと大きな声で笑った。
「ちなみに知ってる? “睨めっこ”って、本来は“笑ったら負け”ではなくて“目を逸らしたほうが負け”っていうルールだったらしいよ」
「そうなの? 何か、不良のガンの付け合いみたいだね」
「元々は内気な人が多い日本人が他人に慣れるための訓練だったらしいよ」
「へえ、君っていろんなこと知ってるんだね」
彼女は感心しながらクスッと笑った。
そんな彼女を見ながら僕は不思議な気分に包まれていた。